森の達人・神垣健司 “森へ入ろう”

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VOL.1
 
真夏の一日、
涼しい風を求めて深山の滝へ

深山の滝は交通の便がよいことや、自然歩道が整備されていること、流量が豊富なことなどから芸南地方屈指の渓谷といえ る。猛暑を忘れたい一日、渓谷にすむ生き物と涼風を求めて、深山の滝周辺の散策を薦めたい。堀切峠を天応側に少し下ったあたりに、深山の滝へ向う自然歩道 の入口がある。ここまでは呉駅から市営バスの便があり、車が駐車できるスペースも確保されている。

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しばらく左手下に大屋川を見ながら進むと、前方に深山の滝があらわれる。水量が多いときの深山の滝は本当に見事だ。滝の 近くに座って、しばらく滝から吹いてくる涼風を楽しんでいると、まわりにたくさんのミヤマカワトンボが飛んでいることに気がつく。ミヤマカワトンボは清流 にしかすまないトンボで、きれいな水があることの証明でもある。6月には古いタイプのトンボであるムカシヤンマも多産する。
滝の周辺はアラカシやシイ類などの常緑広葉樹林帯で、過去に芸南地方のほとんどを占めてきた植物の群落を思い起こさせる。江戸時代以前には、葉が手紙の代わりに使われてきた常緑樹のタラヨウも数本確認できる。
深山の滝を越えて進むと水の流れが穏やかになって、所々に砂地のある河原が見えてくる。河原の水辺にそっと近づいてみよう。体温を下げるため、多くの チョウたちが吸水に訪れている。黒い大型のチョウはクロアゲハやカラスアゲハなど、白い小型のチョウはルリシジミの仲間である。吸水をしているチョウはあ まり警戒心を持たないため、そっと近づいて目の前で見ることができる。
また、川魚を求めてサギの仲間も集まってくる。サギ類は優秀なハンターで、狙った川魚を次々に捕まえていく。空飛ぶ宝石といわれるカワセミも時々姿を見せ、青緑色に輝きながら川の上を素早く飛んでいる。

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川魚を探すコサギ
コサギはサギの仲間でもよく見られる

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ミヤマカワトンボのオスは清流の岩場でなわばりを張って、
メスが来るのを待っている

〈1999年8月号掲載〉

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深山の滝全景

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ユオニユリは山地のやや湿ったところに
生える中国産のユリで、
古代は食用にされていた


   
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